こんにちは、たっきーです!
たきログはビジネスパーソンに向けて、本の学びと知識を共有しています。
本日は『最高の戦略教科書 孫子』(守屋 淳 著)の紹介です。
孫子の兵法を学んで、
ビジネスに活かしたい!
あなたのそんな悩みを解決します。
- 『最高の戦略教科書 孫子
』の要約と所感 - 孫子の兵法をビジネスに活かす方法
- ビジネスの外交戦略3ケース
それでは、早速いきましょう!
孫子の兵法とは?
2500年前に「孫武」が書いた戦の指南書
人気漫画キングダムで描かれる春秋・戦国時代。
日本では縄文時代から弥生時代への移行期あたります。
秦が中華を統一する280年ほど前。
現在から約2500年前に「孫武」によって書かれた古典が「孫子」です。
孫子は「戦わずして勝つ」を最善とする兵法書(戦の指南書)。
三国志で有名なあの諸葛亮孔明や曹操も愛読していました。
中国の春秋・戦国時代
春秋・戦国時代(BC771年~BC221年)の中国では、約550年もの間、戦乱の世がが続きました。
550年間とは、なんと室町時代から現代までと同じ長さなんです!
孫武は、BC500年あたりに呉の国の王に仕えた軍師でした。
軍師とは、現代でいう企業のコンサルタントです。
現代の経営者たちを虜にする「孫子」
孫子の愛読者には、IT業界の立役者が数多く並びます。
- 孫正義(ソフトバンク創業者)
- ビル・ゲイツ(マイクロソフト共同創業者)
- ラリー・エリソン(オラクル創業者)
- マーク・ベニオフ(セールスフォース・ドットコム創業者)
現代に生きる私たちは、学校や企業で「もっと具体的に」と言われる場面が多いですよね。
だからこそ古典なんか読むよりノウハウ本を読む方がずっとタメになると思われがちです。
(100倍売れるコピーライティング、○○式 成績を劇的に上げる20の方法 など)
しかし情報社会となり移り変わりのスピード感が早まった現代では、「前例に倣う」では通用しない場面が多くなりました。
そこで「競争状態での原理原則」については、より抽象度を上げて考える必要があります。
だからこそ、同じ競争状態である「ビジネス」にも「孫子」を活用できるのです。
先に紹介した立役者たちも、競合の多いIT業界で生き抜くために孫子を活用しています。
抽象度を上げるとは?
孫子の兵法をビジネスに活かす
|ビジネスの外交戦略とは?
考え方の前提が現代とは違う
孫子では、現代人の考え方とは”前提”から異なります。
現代の考え方 : 人や会社は失敗も犯す。失敗から学ぶことが大切。(失敗=始まり)
孫子の考え方 : 人は死ねば終わり。国は滅んでしまえば終わり。(失敗=終わり)
前提が真逆なのです。
戦って勝つだけではダメ
(百戦百勝は善の善なる者にあらず)
『百戦百勝は善の善なる者にあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。(謀攻篇)』
(百回戦って百回勝ったとしてもそれは最善の策とはいえない。戦わないで敵を屈服させることことそが最善の策なのだ。)
守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
列強に囲まれた中での体力(兵力)の消耗は死に等しいといえます。
なぜなら、いつ第三者から背後を狙われるかわからないからです。
負けてはダメ。それどころか勝っても自分がすり減ってはダメ。
守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
端から順番に戦って勝つだけではダメで、「なるべく戦わずに勝つ」ことが重要なわけです。
まさに『戦略』ですね。
自分の「強み」を見つけて仕事を選ぶという戦略
ビジネスでの外交戦略3ケース
孫子では、敵対国との力関係によって身の振り方を変えるべきだと薦めています。
結論からいうと「勝算がなければ戦わない」戦法です。
ビジネス外交戦略の事例もあわせて解説していきます
① ライバル(競合)の方が弱いケース
『必ず全きを以って天下に争う。(謀攻篇)』
(相手を傷めつけず、無傷のまま味方に引き入れて、天下に覇をとなえる)
守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
この手法をよく使ったのが、後の三国志で活躍する魏の曹操でした。
現代のビジネスで考えるならば、次のような構図になります。
多くの企業が真っ向勝負でシェア争いするなか、対等の合併や非敵対的なM&Aを使ってうまく敵対関係を解消し、シェアを大きくさらうような構図になるだろう。
守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
ビジネス事例
2022年8月、Amazonがロボット掃除機「ルンバ」で知られるiRobotを買収すると発表しました。
買収額は2285億円です。
- Amazon側 : iRobotの高精度なホームマップ生成機能が目当てと考えられる
- iRobot側 : ハード面の低コスト化や会員を取り込める
iRobotはAmazonに買収されることで増収が見込めるメリットがあることから、両者にとってメリットの大きいM&Aといえます。
世界を席巻するAmazonの戦略はこちら
②ライバル(競合)と自分が同じくらいの実力であるケース
上兵は謀を伐つ。(謀攻篇)
(最高の戦い方は、事前に敵の意図を見破ってこれを封じることである)
守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
その次は交わりを伐つ。(謀攻篇)
(次善の策は、敵の同盟関係を分断して孤立させることである)
守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
相手の戦うエネルギーが小さい内に摘み取っておく。
または、上手くかわして漁夫の利をさらうということです。
その良き例が、FacebookによるInstagramの買収でした。
ビジネス事例
2012年、Facebook(現:Meta)はInstagramを10億ドルで買収しました。
のちに2019年のInstagramの売上高は200億ドルとなり、買収当時と比べて価値が跳ね上がっています。
Facebookは、近い将来に競合となるであろうInstagramの排除に成功したといえます。
最近では、米国の巨大テック企業がパンデミックに乗じて、同業他社を安く買収するケースも見受けられます。
③ ライバル(競合)の方が強いケース
少なければ、則ちこれを逃れ、若からざれば、則ちこれを避く。(謀攻篇)
(劣勢の兵力なら退却し、勝算がなければ戦わない)
守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
例えば、中小企業が大手の系列に入る。または権力者に庇護してもらうがこれに当たります。
ビジネス事例
M&Aには敵対的買収といって、買収対象企業の合意を得ずに株式を買い占めるケースがありますが、その防衛策のひとつに「ホワイトナイト」があります。
買収を仕掛けられた企業が、新たに友好的な買収者(=ホワイトナイト)を見つけて買収してもらうこと
2005年にライブドア(現:LDH)が当時フジテレビの親会社であったニッポン放送の敵対的買収を試みました。しかしニッポン放送は、ソフトバンク・インベストメント(現:SBIホールディングス)をホワイトナイトとする買収防衛に成功しています。
勝算がないため、真っ向からは戦わない(第三者に助けを求める)道を選んだ事例ですね。
競合と自社の比較方法
ここまで、孫子の兵法にならったケース別の外交戦略について解説しました。
これらの振る舞いには、力の差を正確に見極めることが重要となってきます。
なぜなら戦力を見誤れば、そもそも外交戦略どころではないからです。
マンガ版もあります
サクッと読みたい方向けにマンガ版もあります。
たっきーの所感
企業買収に関しても”戦”ですが、受験もまさに”戦”です。
頭がよい(兵力がある)だけでは受験(戦)には勝てない。
逆に現在の偏差値が低くても、やりようによっては逆転の可能性がある。(ビリギャルが良い例ですね)
それには敵国(狙う高校・大学)の情報を知り、また自分の実力を正確に把握していることが肝となります。
実はこれは孫子でもっとも人気のある名言につながるのですが、それは次回の記事にて。
孫子を読むことは、競争状態の原理原則を学ぶことであり、ビジネスや受験での戦い方を学ぶことと同義です。
本書は守屋さんの解釈も含めて具体的な事例が紹介されているので、ぜひあらゆる世代の方に広く知っていただきたい一冊でした。
今後も多くの方に「最高の戦略教科書 孫子
今回ご紹介した書籍はこちらです